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 楽しみと言えば人それぞれ違うものである。誰が女の子であればお人形遊びが好きなものだと決めたのだろうか。

私にとってはそのようなことが楽しいと思えたことは一度もなく、はっきりと言ってしまえば気味が悪いとさえ思った。

人形を見ていると何故だかとてもそれが不気味に思えるのは、その左右対称なまなざしからなのか、人と

同じ形をしているからなのか、私には分からない。


私の妹の持ち物に一体の美しい人形がいた。左右対称できらきらと輝く瞳、美しい金色の髪に美しい肌、まるで生きているように微笑んでいる表情、しかしその中に魂は無く、私にはそれが不気味に思えてならない。

 

妹の人形が無機質な目で私を見ていると、私はとても嫌な気持ちになった。

そしてあの人形の瞳に見つめられている間、私は金縛りにあったように身体が動かなくなる。

しかし、私がその人形の瞳を見つめて嫌な気持ちになっていると、いつも妹がそれを察してくれていたのか私の手をとって外に連れ出してくれるのだった。妹はとても優しい子なのである。

 私と妹の部屋はベッドのある部屋と、妹のおもちゃを置くための部屋が何の仕切りもなくつながっていた。

ベッドは一つで私と妹は一つのベッドに二人頭を並べて寝ていた。

 

夜、妹と怖い話をしながら眠っていたのは懐かしい思い出である。

私のためのおもちゃの部屋が無いのは、おそらく両親が私の事をそんなに愛していないからであると思う。

 

実際私も両親をそれほど愛してはいなかった。

私は妹がいればそれでいいとさえ思っていた。

両親は私には目もくれず、妹だけを溺愛していた。

そして両親は妹に対して毎日、「人形のようにかわいい」などと言っているのだから、私にとっては妹の方が可哀そうに見えた。


私は人形が嫌いである。特に妹の持っているあの人形からは、とても不気味な何かを感じる。だからこそ、私は両親が私と妹をどんなに差を付けていようと、何も嫉妬というものを感じることは無かった。

妹の人形は妹のおもちゃを置くための部屋にいつもいる。

しかもいつも妹は人形をベッドのある部屋から見やすい位置に置くので、私はそれと目を合わさないように過ごしていた。


私はどこに行くにもいつでも妹と一緒であった。彼女と手を繋いで、お揃いの洋服を身にまといながら、私と妹は家の外へ出かけた。

 

妹と出かけると妹は特に私と何か遊びをするわけでなく、ずっと一緒に色々なことについておしゃべりをしていた。友達の事、花の事、夢の事、色々なことを話した。

海に行ったこともある。

私は泳ぐのが苦手なので、浜辺に座りながら妹が両親に手を引かれ泳ぐ練習をしているのをただ見つめているだけだった。

海の中には沢山の生き物がいるわけだが、私はそれを考えながら海を見つめていた時、とても不思議な気持ちになった。

この水の中に一歩を踏み出せば様々な生物と同じ水に触れていることになるのだろうか、そんなことを考えていた。妹は両親に手を引かれ、海の中を泳いでいる。

妹にはあの青い海の中が見えているのだろう。

その日の夜、妹は海の中のことを私に話して聞かせてくれた。

どうやら妹が泳いでいたのは浅いところだったので、あまり大きな魚を見ることが出来なかったようだ。

妹はてっきり浅瀬であってもクジラが泳いでいるものなのだと思っていたらしい。それでも、海の中は綺麗だったという。青いレースの中をくぐっているようだったと、妹は嬉しそうに話してくれた。


妹は私の事をお姉ちゃんと呼ぶことはなく、メアリーと呼んでいた。メアリーなんて、私には勿体ない名前に思えてならない。


「メアリー、私はね、大きくなったらお洋服を作る仕事になりたいの」
 

ある夜、毛布の中で妹はぽつりとそう言った。私はそれに対して何と答えたかは覚えていなかったが、メアリーが洋服のことが大好きなことはとてもよく知っていた。

私はあまり洋服には興味が無いのだが、妹は毎朝必ず、洋服を選ぶ為に早起きをしていた。洋服に興味のない私の服も、毎日選んでいたのは妹だった。

当然、妹とお揃いの服を着ていたのである。


 私は姉であると言うのに、妹に頼りっぱなしであった。

妹には友達がたくさんいて色々なことに興味があるようだったが、私は真逆で友達がいないし、興味のあることと言えば、日々頭の中で物語を描くことだけだった。

 

両親が私より妹の事を大事にする気持ちもこのことから分かってしまう。

私は不器用で、妹がいないと何もできないのだ。人形に見つめられて金縛りにあっていても、妹がいなければおびえたまま動けないし、妹のように運動神経もよくない。

洋服まで妹の選んだものを着ているのだ。
 

私の中の一番幼い頃の記憶の中でも、私は両親に大切にはされていなかった。

産まれたばかりの妹をかわいがる両親を横で見つめている私。

それが一番幼い頃の私の記憶だった。
 両親のことなど、正直私はどうでもいいと思っている。これが当然なのだから。そう思うしかないのだ。私には妹がいれば他の人はどうだっていい。妹が私の全てなのだから。

一番楽しいと感じたのはある夏、妹と一緒に行った草原だった。妹の友達の家族に連れられて、私達は心地の良い風の吹く草原で、ピクニックをしたのだ。それが元凶となるとは、この時の私は知ることが出来なかった。
妹は友達の両親の作ったサンウィッチをおいしそうに食べていた。
「メアリーちゃん、とてもかわいいわね」
妹の友達の母親は、そう言った。

私は妹以外の人にそんなことを言われたことが無い。だからその時はとても嬉しかった。「私の両親がこの人たちだったら良かったのに」とまで思うほどであった。
妹はサンドウィッチを食べ終わると、辺りに咲いている花を摘んで花の冠を作っていた。

その冠を私にかぶせて喜んでいるようだったが、私は妹の方が似合うと思っていた。

妹の友達は花の首飾りを作り、自分の母親にプレゼントしていた。その時の喜び方は、見ている方も幸せに感じてしまうほど、素敵なものだった。
私は両親に愛されたこともないし大切にしてもらった記憶もないが、その時、私は両親に何かプレゼントをしたいと考えた。

 


その日の夜、私はこっそり庭で花を摘んで両親の寝室の前に置いておいた。花壇に咲いている花ではいけないと思ったので、草むらに生えている花ではあったが、とても綺麗な花だと私は思った。

両親が好きなわけではない。ただ、両親が妹の友達の母親のように喜ぶところを見てみたかった。
翌朝、母親は悲鳴をあげた。妹と一緒に見に行くと、寝室の前で母親が何かを指さして怯えている。そこにあったのは昨日の夜、私がこっそり置いた花だった。どうやら虫がついていたらしく、母親はそれに驚いていたようだった。

母親は妹に尋ねた。「あなた、昨日摘んできた花をここに置いたの?」
 妹は首を横に振った。やがて寝室の奥から父親が出てきた。
「プレゼントはいいけど、こんな風にプレゼントしちゃ、花が元気なくなっちゃうぞ」
 父親は妹に対してそう言った。妹はそれに対しても「私じゃない」と抗議していた。
 私がプレゼントをしたということは、両親は考えなかったのだろう。

プレゼントをするような娘は私ではなく、妹なのだから。両親は私に何も言わず、私のプレゼントした花を捨ててしまった。

そして、捨てる時に「せっかくくれたのにごめんね」と、母親が謝ったのはやはり妹だった。
 

妹を怨むわけはないが、ただ両親が憎かった。これまで同じような扱いを何度も受けてきた。

それでも、昨日あの幸せな家族を見てからでは、私は両親に恨みを感じざるを得なかった。

両親が不幸になってしまえばいいのに。
 妹は花を置いたのが自分ではないと分かっていたので、両親に疑われることで、とても不愉快になったらしい。
 私は次の日も、また次の日も、両親の寝室の前に花を置き続けた。両親に興味などない。

でも一度でもいいから両親に愛されてみたい。

どんな気持ちなのかを味わってみたいのだ。

妹の友達の母親に言われたように、自分の母親に「かわいい」と私は言われてみたいのだ。

父親に優しく頭を撫でられてみたいのだ。
 私は今でも自分の心を騙しているのかもしれない。

もしかしたら、両親に愛されないことを悲しんでいたのかもしれない。

今、過去を思い出しているだけでも、何度「両親はどうでもいい」と考えたのだろう。それは私の自分自身に対する嘘なのかもしれない。

 プレゼントは一週間以上続いた。続けて三日経った頃には、両親は妹を疑ってはいなかったが、やはり私を疑うこともなかった。

いや、私の仕業だともしかしたら気がついていたのかもしれない。それでも何も言わなかったのは、それほど私と話したくなかったからなのかもしれない。
 摘んだ花は両親が受け取ることなく、全て捨てられた。三日目までは妹に謝りながら、三日目より後は何も言わずに捨てられた。
 花以外のプレゼントを用意できたなら良かったのだろう。

しかし、私には花以外に用意することは出来そうになかった。また、「今日こそ花を捨てずに受け取ってくれるのでは」と、どうしても期待をしてしまっている自分がいた。だから私は花を摘んで両親の寝室の前に置くという行為を止めなかった。

②へ続く





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